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『林業の計量経済分析』水野勝之,土居拓務,安藤詩緒,井草剛,竹田英司, 五弦舎,p123(2019年11月25日)刊行

  • 執筆者の写真: 経済教育研究センター事務局
    経済教育研究センター事務局
  • 2019年11月25日
  • 読了時間: 2分

更新日:2021年11月29日


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 本書は、林業について経済理論からアプローチした研究書である。林業の分析に経済理論を利用した例は少ない。焦点は、外材に押され気味の日本の林業のどこに問題があるのかを経済理論で解明し、その分析結果に基づいてその解決方法を提案した点である。

 使用した理論は、計量経済学者のHenri Theilのシステム―ワイド・アプローチという理論をベースに著者たちがオリジナルに構築・開発したモデルである。そのモデルには次のような特長がある。

1) 生産関数や効用関数に1次同次を仮定しなくても実証分析できること

2) 実証して計測された効用水準は、単に順番を表すだけの序数的ではなく、正確に計測できる基数的効用であること

3) 1)に関連し、1次同次を仮定しない形で全要素生産性伸び率を計測できたこと

4) 地域分析への活用が多い産業連関表であるが、産業連関表を加工して林業を計量経済分析するデータとして活用したこと

5) 4)に関して利潤最大にする投入係数と現実の投入係数の乖離の状態で日本の林業の問題点を指摘しえたこと

特に、1)、3)に関しては、現代の行動経済学的観点から利潤最大化、効用最大化が批判されているうえに1次同次という強い仮定を置いていて、二重三重の批判対象にあたる点であるが、その解決のための一方法を示しえたといえるであろう。

 
 

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