『ドラマで学ぼう! 統計学〜森の中の物語〜』水野勝之,土居拓務,安藤詩緒,井草剛,五弦舎,p.229(2020年4月25日)刊行
- 経済教育研究センター事務局

- 2020年4月25日
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更新日:2021年11月29日
ICTやAIの発展の目覚ましい今、統計データが山ほど集まる。ビッグデータなどがそれだ。社会では、それらのデータの解析結果を活用してその後の方針を決めようとしている。その際、重要となるのは、集めた統計データをどのように生かせば自分の組織の今後について有用となる分析ができるかを知ることである。つまり、データ解析の手法を学んでおくことが非常に重要となる。データ解析の手法は統計学である。そのため現代社会では統計学の重要性が増してきた。
その統計学をわかりやすく説明しようと努力している本が数えきれないほど出版されている。マンガにしたり、身近な例を使って説明したりと様々な工夫がなされている。にもかかわらず、統計学にはなじめないという人が多い。
統計学は学問なので理屈にこだわざるを得ない。論理もしっかり伝えなければならない。かといって、統計学の証明をしっかり入れるとものすごく難しい本になってしまう。そこで、論理を中途半端に伝えながら、統計学の使い方を教えるという形になってしまう。
本書は、本の筋を通すための論理は書く。しかし。小難しい論理にとらわれず、実用的な使い方をコンパクトに伝えるものとする。背景は、林業とする。林業の舞台設定をした上で、林業の問題を統計学が解決するという手法をとる。登場人物は、統計学の素人が大半で、大学を出たての主人公の一人に統計学を習うという設定である。
林業を取り上げたのには理由がある。これまで外材に押されていた日本の木材に再度注目が集まっている。その今こそ、国内材の有効性を再認識してもらう、森林を身近に感じてもらうためである。ひいては、森林が整備されれば、それにつながってる川や海の環境も守られる。環境保全につながる。しかし、言うのはたやすいが、その実現は簡単にはいかず、本書で出てくるような課題を解決していかなければならないことを認識していただく。統計学は社会の問題を解決する有力な手段の一つである。林業の場でも統計学は重要であるから、これを広く考えれば、あらゆる職種で統計学が重要であることを知ってもらいたい。
産業と統計学の結びつきの重要さを意識しながら本書を読んでいただきたい。そして、本書の公式を読者の皆さんの現場で活用していただきたい。
本書は、著者代表の水野の明治大学商学部の授業を受講した者たちが、学者となり、研究員となり、その彼らと一緒に著したものである。非常に感慨深い。



