情報コミュニケーション学会第22回全国大会にて本研究センター所属の月岡忠氏、本田知之氏、土居拓務研究員が学会報告しました。
- 経済教育研究センター事務局

- 3月6日
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更新日:4月26日
2025年3月1日~2日に昭和女子大学で開催された情報コミュニケーション学会第22回全国大会において、本研究センター所属の土居拓務研究員、本田知之氏、月岡忠氏が学会発表を行いました。
以下、それぞれの研究発表概要についてご紹介いたします。
「新たな高大連携実践コミュニケーション教育の試み」
発表者: 月岡忠、我那覇咲希、本多真理、福田悠真、三浦佳大
本報告は、社会科学系分野における次世代の研究者育成を目的とし、明治大学の大学生と杉並学院高等学校の高校生が共同研究を行った成果を発表するものです。2023年には、同高校の生徒が日本初となる社会科学分野での学会発表を実現し、それを契機として大学進学後もフィールドワークを継続する仕組みが構築されました。本報告では、高等学校と大学の連携が円滑な進学を促すだけでなく、将来的な研究者育成にどのように寄与するかを論じ、新たな文系若手研究者育成モデルの可能性を探求しました。
「群馬県嬬恋村を事例とする資本ストックデータの欠落を考慮した小規模農山村の産業モデル分析」
発表者: 本田知之
地域産業振興には、地域産業の詳細な分析とそれに基づく改善提案が不可欠です。しかし、小規模自治体では産業データ、特に資本ストックに関するデータが不足しており、経済モデル分析の課題となっています。本研究では、この課題に対する解決策として、資本ストックを目的変数、原材料使用額などを説明変数とする線形方程式を仮定し、System-Wide Approach を用いた嬬恋村の製造業のモデル分析を実施しました。その結果、嬬恋村の製造業は、規模の弾力性1.278、H-指標7.648と推定され、規模拡大に伴い収穫逓増の傾向を示すとともに、資本集約的な産業構造を持つことが示されました。

「イノベーションの成功と知識の多様性のあり方に関する考察」
発表者: 土居拓務
本研究では、イノベーションを「創出段階」と「実行段階」に分け、それぞれの段階における多様性の影響を整理しました。創出段階では、多様な知識の融合が新たなアイデアの誕生を促進する一方、実行段階では目標の統一や意思決定の迅速化が求められるため、多様性が組織の混乱を招く可能性もあります。本報告では、多様性を効果的に活かすためには、組織内におけるインクルージョン文化の醸成と適切なリーダーシップが不可欠であると結論づけました。
「CORE-ECONによるイノベーション教育を通じて学生は何を学び考えたか?」
発表者: 土居拓務、本田知之
本報告は、CORE-ECONのUnit.21を教材としたイノベーション講義を受講した大学生83名の講義レポートを分析し、その意識変化を明らかにした研究です。本講義では、「新発明・新発想の創出と普及」をイノベーションの定義とし、知的財産権保護の利点と普及阻害のトレードオフ、具体例を交えたイノベーションの功罪、イノベーション速度の将来予測、創出環境についての学生間討論を行いました。その結果、学生たちは講義を通じて、イノベーションの特性を理解するだけでなく、広い視野でイノベーションを捉えるようになったことが示されました。
本研究センターでは、今後も学会発表を通じて最新の研究成果を発信し、学術的貢献を続けてまいります。


